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漢字指導で感激された話

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漢字指導で涙を流された話

ユタカさん

 浜松市の町中でボランティアで失業された日系ブラジル人の衆に手振り身振りで日本語を教えているんだがね。先日、すげえ感激されたことがあったのよ。
 トキコさんという方が私の名前を漢字を教えてよと聞かれたので、加藤登紀子という有名な歌手がいるので、この名前でないかと教えてみました。
 そしたら、俺も俺もで聞いてきた。
 その日は漢字教育の一日になった。
名字が金城とか比嘉とか沖縄の衆は分りやすい。ゴメスが俺の漢字はないよねというので、うん無いよ。と言った。みんな大爆笑さ。そりゃゴメスは無いね。
名前は難しいのよね。トキコだって登紀子・時子・はてまて朱鷺子だってありうるからね。
60歳近い小父さんが俺の名前のユタカの漢字を教えてくれといったさ。
「豊」か「穣」でしょうねと答えた。
それから意味を聞かれた。

ああ、これは豊作とか物がいっぱい実るという意味ですよ。間違いないですよ。と字引片手に教えてやったさ。
ノートに豊・穣と書き写す。一心不乱であまりにも異様な光景だったので、おやっと思い、ふと見るとユタカさんはサメザメに泣いている。肩をふるわせ。泣いている。泣いているのだ。
・・・名付け親のこととか・・・遥か故郷のこと・・・何を思っているのか、ユタカさんは分らんが泣いている。

 私も田舎で家庭教師をしているだけで、そんな大層な仕事をしているとは思わない。子供らなんか本当に学校の宿題で出された漢字を嫌々厭々とやっているのをたくさん見てきた。指導する時に、なだめすかせて漢字の書き取りノートを開かせる。んで気持ちを落ち着かせてできる範囲できれいに書く。なんて手がかかることも現実には多い。
 漢字を指導していて、これだけ熱心にやっている姿を見たのも感激されたのも初めてであるからこういう事例もあるって書いておきたい。

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